今日は、チーム会社を悩ませる
ないないづくし社員について
お話しします。
チーム会社については前回のブログを参照ください。
ないないづくし社員とは
ないないづくし社員とはどんな社員でしょうか。
言われた通りしかし「ない」社員
何も自分で考え「ない」社員
成長しようとし「ない」社員
やる気が「ない」社員
といった社員を指す、私の造語です。
心あたりがある方、多いのではないでしょうか。
たくさんの社員がいる会社とは違い
チーム会社のような会社では
このような社員が一人でもいると
少し困ってしまいます。
私がまだ会社に勤めていた頃、
こんな社員のことを
「親に餌を求めるひな鳥みたい」
と評したことがあります(苦笑)
年齢層は、それこそ10代から60代まで(笑)
彼らは口を揃えて言います。
「指示してください。それがないと動けません」
「なぜ動けないの?」
と聞くと
「失敗したら困ります」
と言います。
もしくは、黙ったままジッとしている社員もいます。
指示をしないと動かない岩のようです(笑)
良くこんな社員ばかりで困る、
という話も聞きます。
昨年、このテーマでセミナーをしたら
たくさんの方が集まっていただきました。
ないないづくし社員は、
他の会社の社長さんの話を聞いたり
いろいろなところで観察したりしていると
至るところで出没しています。
しかも、集団で。
単独行動に出て一人でトッピなことをする社員と違い
ないないづくし社員は複数人の集団でいることも
あります。
中には全員で5人しかいないのに、
社長と専務以外はないないづくし社員だったり・・・
ないないづくし社員の弊害
こんな社員がいるとどんな弊害が起こるでしょうか。
社長がワンマンで、自分で何もかも
決定しないと気が済まない会社であれば
特に弊害はないでしょう。
ただ、この変化が激しい現代社会の中で
その会社は取り残されていきます。
というのは、たった一人の社長のアイデアだけで
変化激しい社会の荒波を乗り越えるには
厳しいものがあります。
会社という船を漕ぐオールが1本しかないのです。
どんな荒波が来ても
沈まないように進んでいくには
当然オールが何本もあった方が良いです。
ないないづくし社員がいるチーム会社は
その分だけオールの数が少なくなるので
何かあった時、危機に陥ってしまうのです。
自分でアイデアを生み出し、
それを実行するために他者との協力を創出し
実行時に発生した困難を乗り越えるには
社長一人が頑張っても限界があります。
社員がそれぞれの能力や得意分野を活かして
チームとして頑張った方が
断然生き残れる可能性が高くなるのです。
営業が得意な社員
経理が得意な社員
モノづくりのアイデアが豊富な社員
技術力はぴか一の社員
それらの社員が現場での困ったを
アイデアを出し合って解決していけば
社長が一人で頑張って
社員全員に指示をして回るより
スムーズに会社が動いていくはずです。
ないないづくし社員がいる弊害は
会社が右肩下がりになってしまうことです。
特にチーム会社のように
規模が小さな会社であればあるほど、
その弊害は大きくなっていきます。
ないないづくし社員発生の原因
こんな現象はなぜ起こるのでしょうか。
全国の事例を見て回ったわけではないので
私の想定ですが、
原因として以下のことがあげられると考えています。
1. 良い子信仰
2. 学校教育の弊害
3. できる上司の存在
つまり、今までの育てられ方や今の育て方に
原因があると思っています。
一つずつみていきましょう。
1.良い子信仰
読んで字のごとく、「良い子」であろう
と強く願い、それを実行しようとする態度です。
まるでそれは信仰のようだと思い、
私がこのように命名しました。
これは比較的女性に多い気がしています。
子どもの頃から親の言うことを良く聞いて
親がやってはいけない、ということをせずに
常に良い子でいた人は、
会社でも上司の言うことを良く聞く
良い社員であろうとします。
叱られることが極度に怖がったり
失敗することを恐れたりします。
中には上司の顔色を伺うことが上手く
上司が嫌な顔を少しでも見せると
慌てて「無難」な方向へ引き戻ります。
例えば、ある事業の計画を立てたとしても
上司が少しでも眉間に皺を寄せたり
「うーん」とうなったりすると
先んじて上司の思いを汲んで
計画を修正しようとします。
上司は考えているだけなのに、です。
私も若い頃、上司に計画書を提出したら
上司が難しい顔をしたので
慌てて取り消そうとした記憶があります。
その時、上司は
「ちょっと待って、読んでるだけだから」
と言いました。
それ以来、我慢して上司が読む間は待つことを覚え、
数年経てば、だんだん上司の表情が
気にならなくなりました。
(ただ、厚かましくなっただけ?笑)
あまりにも良い子であろうとする気持ちが強い
社員は、どうしても上司の顔色を伺い
上司の言いなりになろうとしてしまいます。
2.学校教育の弊害
学校教育がいけない、
と全面否定しているわけではないことを
まず強くお伝えしておきます。
学校教育は
子どもの成長には欠かせないものです。
ですが、その中には若干問題を含んでいるのでは?
ということです。
私は社会人向けの研修を多く扱っていますが、
良く聞かれるのが
「これをどうすれば正解ですか?」
という質問です。
社会人になったら「これが正解」ということは
ありません。
私は、回答として、
メリットとデメリットを伝え、
それぞれで判断をしてください
とお伝えします。
正解というのではなく、
メリットとデメリットの中で
最適な解を自分で選択・決定してほしいからです。
次に良く聞かれるのは
「(どんな場合でも)この手段を取れば良いのですね」
という質問。
あらゆる場面に通用する手段はありません。
その手段を選択するには、いくつかの条件があります。
回答として、それらの条件をお伝えします。
これら良く聞かれる質問には、
「正解」を求める気持ちや
どんな時でも通用する「手段」を確保する気持ちが
見え隠れする、ということです。
学校教育の現場では、
「これが正解」と言わざるを得ない場面が
多くあると私は考えています。
試験問題でいくつも解答があるのは
問題視されてしまいます。
そのために「正解」はこれ、
と決めなければならないのです。
ただ、社会に出ると「正解」がない世界です。
でも、「正解」を求めるクセがついた人は
上司が「正解」を持っている人とみなします。
上司に正解を求めるあまり自分の考えを持たず
上司の言いなりになるのです。
3.できる上司の存在
通常、社会に出て働くようになると
正解のない世界に慣れてきて、
徐々に正解を強く求めるクセは失われます。
ですが、そこに登場するのが、
「できる上司」です。
できる上司は、チームを常勝へ導く力を持っています。
知識も豊富、経験も豊富、
やる気もリーダーシップも豊富です。
そんな人の部下になった社員は、
自分が下手に考えるより
上司が考えた通りに実行した方が
成功の確率が高くなることにすぐ気づきます。
そんな上司は、部下が自ら動かないことを
嘆きながらも、どうやったら動く部下になるか
勉強熱心だったりします。
上司ができるのに部下ができないケースは、
上司ができすぎるという課題があります。
プロスポーツで監督に実力がありすぎると
チーム全体がこじんまりとなってしまう
といった話を良く聞きます。
良くできる上司(この場合は監督)が
部下(この場合は選手)を熱心に指導するあまり
選手たちがないないづくし社員となってしまったと
考えられます。
ないないづくし社員の発生のメカニズム
これまでのことを統合してみます。
社員に良い子信仰や正解を強く求める傾向があり
できる上司に恵まれた時、
ないないづくし社員へとなってしまうと
考えられます。
ですが、
もう一つ、発生のメカニズムのパターンがあります。
ないないづくし社員の要素を持っていなくても
社内でないないづくし社員を養成してしまう
大変困ったメカニズムです。
それは、できる上司ではなくても
ワンマンな社長や上司でも同様のことが
発生するということです。
新しいことをしようとしても
それが絶対会社にとって良いことだと思えても
ワンマン社長が「No」と言えばできません。
そんな環境であれば、
自分で考えて行動しよう、
なんて社員は生まれてくるはずがありません。
何でも自分で決めなければ気がすまない人は
たくさんいます。
それが社長であったり
影響力のある上司だったりすると
社員は自然と黙ってしまうのです。
そして、
ないないづくし社員へと変貌していきます。
集団でないないづくし社員が存在する会社は
社長や上司がワンマンである可能性が
高いと考えています。
そんなワンマンな人たちの誤解が一つあります。
「うちの社員はツマラン奴ばかりだから、
良い人材がいたら採用したい」
ということです。
会社の外に人材を求めるわけです。
ですが、
良い人材もワンマン社長の下に入れば
社長の言う「ツマラン奴」に変わります。
それでも独自路線を進めば
きっと「クビ」になるだけです(汗)
もともとないないづくし社員の要素を持っていた
あるいは
ないないづくし社員を養成するワンマン社長がいる
ということが発生のメカニズムでしょう。
次回は、ないないづくし社員の反対、
あるあるづくし社員について
お話しします。
それでは、今日はこの辺で。